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『韓非子』の思想・名言を学ぶならこの本がおすすめ!!

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こんにちは!らいおんです。

本日は、韓非子の思想・名言を学ぶならこの本がおすすめ!!について書きたいと思います。


当書『組織サバイバルの教科書 韓非子』は、守屋淳氏が中国の思想書韓非子』(かんぴし)の思想・名言を、親しみやすい文体で現代の事例を織り交ぜながら、読者にわかりやすく解説した書籍です。


内容としては、『韓非子』をメインテーマとしつつ、その形作るもととなった『論語』の思想・名言も紹介し、それとの対比を大きな柱としています。


韓非子』は、現代では「経営者の愛読書」として多くの経営者に愛読されているのですが、実は歴史上の人物でもこの『韓非子』を読んで感動し「この人と会えて、交友できたなら、死んでも後悔はない」と言った人物がいます。


それが、秦王政のちの『秦の始皇帝』(漫画キングダムの嬴政)です。


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では、なぜ『韓非子』が始皇帝にこうまで言わせたのか、また現代では「経営者の愛読書」として多くの人が思想や名言を学ぶのかその理由について書いていきたいと思います。

ちなみに、三国志の蜀の初代皇帝・劉備玄徳の息子・劉禅諸葛亮孔明から教材として『韓非子』を献上されています。 当時から、韓非が遺した思想・名言の数々は学ぶべきものとして、高く評価されていたようです。

書籍紹介(書籍名・著者名・出版日・総ページ数・目次)

●組織サバイバルの教科書 韓非子

●著者 守屋淳 ・出版日 2016年8月17日 ・総ページ数 337P

【目次】 第一章 人は成長できるし、堕落もする-「徳地」の光と影
第二章 『韓非子』は性悪説ではなかった?
第三章 筋肉質の組織を作るための「法」
第四章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ
第五章 「権力」は虎の爪
第六章 暗闇のなかに隠れて家臣を操る「術」
第七章 改革者はいつの時代も割に合わない
第八章 人を信じても信じなくても行きづまる組織のまわし方
第九章 使える権力の身につけ方

著者プロフィール 守屋淳氏の経歴について

作家 中国古典研究家 1965年東京都生まれ 早稲田大学第一文学部卒


大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』などの思想・名言・知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした執筆や、企業での研修・講演を行う。


主な著・訳書に『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、『最高の戦略教科書 孫子』(日本経済新聞出版社)などがある。

(引用元:本文)

解説(韓非の人物像とその生涯について・『韓非子』と『論語』の対比について)

これから、韓非の人物像とその生涯について簡単に触れたいと思います。


また、『韓非子』と『論語』の対比について、例を挙げながら解説したいと思います。

韓非の人物像

韓非は、韓という国の公子(公族の子弟)の一人で、「刑名法術の学」(法律学)を好んでいました。


人となりは、吃音(きつおん、どもり)で弁舌は下手でしたが、非常に文才に長け、書をしたためる事で自分の考えを説明するようになった。この事が、後の『韓非子』の作成に繋がったものと思われます。


その後、李斯(漫画キングダムの呂不韋に仕える四柱の1人)とともに荀子性悪説を唱えたことで有名)に学んだとされています。このとき、李斯は「韓非にかなわない」と思っていました。それほど、優秀だったようです。


性悪説・・・人間の本性に対する主張。 「人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」

韓非の生涯

韓非は荀子のもとを去った後、故郷の韓に帰り、韓の領土が削りとられて弱体化していくのを見て、たびたび書面で韓王を諌めたが、それが聞き入れられることはありませんでした。


その後、序文にも書きましたが、韓非が書いた思想書が秦に伝わり、秦王政『秦の始皇帝』に高く評価されます。


そこで、秦は突然韓を攻撃します。韓王は、危険を回避するために韓非を秦に使者として派遣します。


秦王は、彼に会って喜び登用しようとしましたが、それを妨害する者がいました。そのうちの一人が、李斯です。


結局、韓非は牢獄に捕えられ、申し開きもかなわずに自殺に追い込まれ死んでしまいます。


韓非は、政争に巻き込まれた結果、優れた知識と分析力を現実の政治では活かせずに、生涯を終えてしまいました。

韓非子』と『論語』の対比

●『論語
今から二千五百年前に活躍した孔子とその弟子や周囲の人たちの言行録(言葉と行いを記録したもの)です。日本でも江戸時代以降から熱心に読まれていて、日本人の道徳感に強く影響を与えています。


●『韓非子
中国の春秋・戦国時代に活躍した思想家、韓非(かんぴ)によって書かれた著書で、全20巻55篇で構成されています。法治主義(人民を法で規制すべきこと)、信賞必罰(臣下を賞罰をもって自在に操縦すべきこと)など、国を治める方法について記されています。


●対比
中国の古代において、『論語』の理想とするような組織の欠点が徐々に浮き彫りになり、その批判や改革への試みがなされた結果、解決策として誕生したのが『韓非子』です。なので、論語』と『韓非子』は水と油と言える程、考え方が対極に分かれています。


例.1 人のあり方
論語・・・人間、志が重要だ
韓非子・・・しょせん人間は利益に目がくらむ


例.2 政治において重視するもの
論語・・・上下の信用
韓非子・・・信用など当てにしていたら裏切られる


例.3 上下関係
論語・・・上司と部下は敬意を持った関係であるべき
韓非子・・・足を引っ張り合っているのが常態だ

当書のオススメポイント!「経営者の愛読書」として『韓非子』の思想や名言を学ぶ理由

どんな名経営者であっても、組織の頂点に立ち、それを維持するためには、ライバルや派閥間の権力闘争に対処せざるを得ない状況に直面することがあります。


自分ではいくらやりたくないと思っていても、相手は待ってくれません。常に、虎視眈眈とチャンスを伺っています。なので、経営者はこれらに対処する方法を知り、様々な手段を用意しておかなければなりません。


そこで活躍するのが『韓非子』です。なぜなら、韓非子』が権力論(権力の在り方・行使する方法)について特化しているからです。ここに、経営者が『韓非子』の思想や名言を学ぶ理由があると著者は語っています。


当書では、『韓非子』の権力論にスポットを当てつつ、そこに現代の事例を織り交ぜながら、わかりやすく解説していますので、具体的な状況が想像でき、応用しやすい内容となっております。


また『韓非子』と『論語』を比較することで、両方の考え方のメリット・デメリットを理解することが出来ます。


さらに『韓非子』を別の角度からみれば、「権力論を理解することで組織にいる人間が、そのなかで生き残るための術」を知ることが出来ます。


簡単に言うと、一社員が上司や同僚に対抗するため、会社に使い潰されないため、権力闘争や責任問題などの巻き添えにならないための、知恵や方法を学ぶことが出来るのです。


当書を読むことで、会社での立場が上であれ下であれ、両方の考え方と対処法を知ることが出来ます。私は、ここがこの書籍の最大の武器だと思っています。

一部紹介 人はまず信頼すべし-孔子の人間観 69P / 人の本性は「弱さ」にある 73P


人はまず信頼すべし-孔子の人間観 69P

《一部抜粋》最初に補助線として、組織に対する孔子の考え方を見ておこう。一見、彼の組織観は「性善説」-人の本性はもともと善である-という考え方をもとにしているようにも見える。しかし孔子は必ずしも人を「性善説」で見ているわけではなかった。実際、『論語』には次のような言葉がある。

・生れながらの素質に、それほどの違いがあるわけではない。その後の習慣によって、大きな差がついていくのである。
・人は教育によって良くも悪くもなる。もとの違いはない。
・ただ知能のうえで最高の人間と最低の人間のあいだには、どうしても越えることのできないかべがある。

まとめるならば、人はよほどの天才と、よほどの愚か者以外は、教育によって良くも悪くもなる存在だ、と考えていたことがわかる。ちなみに孔子のいう教育とは、知識の習得ばかりでなく、人柄や行動、態度、対人関係やリーダーシップを磨くことにも大きな比重が置かれている。現実を見ても、これはとても穏当な見解ではないだろうか。この点を踏まえていえば、孔子の組織観とは、次のようであったと考えられる。
「よい組織を作りたければ、ひとまず人を信頼すべきだ」もちろん、同じ仲間になるのであれば、できるだけ信頼のおける人間や、品性・品格の高い人間の方がよい。だからこそ『論語』には人を見抜くための箴言がいくつも残されている。
しかし残念ながら、こうした手法を駆使したところで、相手が本当に善人か否か、信用できるか否かを完全には見極めることができない。裏切られてしまう場合もあるだろう。だがそれでも、よき組織を作りたければ、まずは相手への信頼から始めるしかない、と孔子は腹をくくっていたのだ。〔中略〕「信頼は信頼を生む」「人は成長できる」-これが孔子の組織観を支える二つの確信であった。
(引用元:本文)


人の本性は「弱さ」にある 73P

《一部抜粋》韓非の場合、「人は信頼できない」という前提のもとに組織を作ろうとした。では、なぜ「人は信頼できない」のか。〔中略〕『韓非子』には次のような指摘がある。

昔、みなが財物に執着しなかったのは、思いやり深かったからではない。人の数より財物が多かったからなのだ。現在、みなが争いに明け暮れるのは、賤しいからではない。人の数より財物が少ないからなのだ。昔はあっさり天子の位を譲ってしまうのも、人徳が高かったからではない。その地位に対して権勢がなかったからだ。いま低い官職にさえ争奪戦が起こるのは、賤しいからではない。その地位の権勢が重いからなのだ。だから聖人は、常に財物が多いか少ないか、権勢が厚いか薄いかを考え、それに応じた政治を行う。

この指摘から、韓非の人間観を一言でいえば「人は状況の申し子である」となる。彼の考え方は、孔子と対比すると次のようになる。

孔子・・・人は教育によって良くも悪くもなる
韓非・・・人は置かれた状況によって良くも悪くもなる

一見似ているようにも感じられるが、背景にある意味は大きく異なる。孔子のような人間観には、「状況のいかんによらず、教育されていない人間や、よくない教育を受けた人間はダメになる」という含意があるし、韓非のそれには、「教育のいかんによらず、利己的にならざるを得ない状況では、人は利己的になってしまう」という含意がある。この二つ、あえて一つにくくるとすれば、筆者は「性弱説」になるのではないか、と考える。そう、人の本性は「弱さ」にあるのだ。〔中略〕
「しかしその弱さをはねのけ、憧れる力や、師匠からの感化力によって、人は志を持てるし、学ぶことによって成長することができる」と、人の内面に寄り添う形で考えたのが孔子
「状況次第で、多くの人は自分の弱さにあらがえなくなる。ならば、逆にその性質を利用して、組織や国がまわるシステムを作ってしまえ」と、統治する側の上から目線で考えたのが韓非、となるわけだ。

この二つ、並べてしまえば孔子の方がまともで人情味があるようにも思えるが、しかし、話はそう単純ではない。孔子の発想を、統治する側が悪用してしまうとどうなるのか。これは簡単に、「ブラック企業の論理」に早変わりする。実際、ブラック企業の社長の言葉のなかには、「成長」「志」「滅私奉公」のような文言がやたら出てきたりもする。こうした精神主義の押しつけによって人を低い賃金で過重労働に駆り立てていくわけだ。思想や価値観が使う者の立場によって大きく意味を変えてしまう、これは好例でもある。
(引用元:本文)

韓非子の思想・名言を学ぶならこの本がおすすめ!! まとめ

当書の【第九章 使える権力の身につけ方】の最後の項目に「自由のかけらを手に入れるために」とあります。


この項目には、みなが嫌がる面倒な仕事を敢えて自分が引き受けつつ、みなの急所を握って誰からも攻撃されないようなポジションを作った話が書いてあります。


しかし、この話は一歩間違うといい人になり過ぎて、組織から使い潰されてしまう危険性があります。ここで重要なのは、どちらが権力を握っているかということです。


少しでも権力論を理解していれば、使い潰される確率はぐっと低くなるでしょう。さらに、うまくいけば社内に確固たるポジションを作ることが出来ます。


これから、社会は目まぐるしい変化を遂げ、新しい働き方も生まれてくるでしょう。そこで、今後の自分の身を守るためにも『韓非子』の思想や名言の数々は学んでおくべきものだと思います。

私は『韓非子』を読んで、思想や名言を学び自分の働き方や考え方について、改めて見直すことが出来ました。真面目な方ほど、いくら忙しくても「仕事だから」とさらに自分を追い詰めてしまう傾向があるように思います。体はひとつしかありませんので、会社から自分の心と体を守れるように考え方や対処法を身につけたいですね。

以上で、韓非子の思想・名言を学ぶならこの本がおすすめ!!を終わります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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